教育サービス業界の
現状とは?
深刻さを増す少子化問題の影響等、
業界のリアルな状況を教えてください
まず、教育業界の前提から共有しましょう。
教育業界のマーケット規模は、約3兆円と産業の中でも大きい産業なんです。3兆円がどのくらいの規模感かイメージしづらいかと思いますが、例えば昨今世界的にも人気が高まっているアニメ産業と同規模なんです。なかなか大きいマーケットだと思いませんか?
一方で過去5年間の教育業界の状況を見ると、やや減少傾向であるといえます。
この要因はやはり少子化問題です。
1990年ごろまでは18歳人口が200万人だった状況が、今や106万人ほどにまで減少しています。また2024年においては、出生数は70万人を下回る公算が発表され、ニュースでも大きく取り上げられるなど、少子化問題は益々深刻な状況になっています。
教育業界自体は大きいマーケットで、どの時代においても需要があるものの、この状況の中で教育業界のマーケットを”伸ばす”ということは、我々としても非現実的だと考えています。
この話を聞いて「やっぱり、これから教育業界はやばいんだ!」と思われている方もいるかもしれません。
でもよく考えてみてください。
子どもの数が減っているということは、いずれ大人の数も減っていくということです。 つまりこの少子化問題は、教育業界に限らず日本産業全体の問題であり、いずれはどの産業も間違いなく影響を受けるといえます。
出典:矢野経済研究所
注1 事業者売上高ベース
注2 ①学習塾・予備校、②家庭教師派遣、通信教育(③幼児向け、④学生向け、⑤社会人向け)、⑥幼児向け英会話教材、⑦資格取得学校、⑧資格・検定試験、⑨語学スクール・教室、⑩幼児受験教育、⑪知育主体型教育、⑫幼児体育指導、⑬企業向け研修サービス、⑭e ラーニング、⑮学習参考書・問題集の主要15 分野をさす。
注3 2024 年度は予測値
業界で勝ち続けるための
“勝ち筋”とは?
縮小する教育業界の中で
勝ち続けるための、
勝ち筋を教えてください
ずばり、オンライン教育でマーケットの”シェアを獲得”していくことです。
先ほどお伝えした教育業界約2兆円規模の市場のうち、予備校、家庭教師、学習塾が約1兆1,000億円を占めていますが、これらのほとんどが対面による教育サービスです。
これらを、我々のサービスによってオンライン化させることでマーケットシェアを獲得したいと考えています。
ですので、教育サービス業界のマーケットが伸びなくても、
我々のビジネスモデルにはさほど影響ありません。
対面型教育サービスに
勝つための道とは
ではどうやって対面型教育サービスに勝つのか…?という点が疑問かと思いますが、
オンライン教育だからこそできる強みであるテクノロジーを最大限活用してサービスを展開することで、「結果」「便利さ」「価格」の3つで勝ちたいと考えています。
例えば、対面で実施される授業はデータとして残しにくいですよね。録画していれば別かもしれませんが、これまで授業を録画していない企業のほうが多いと想像できます。つまりデータが全く蓄積されていないことが考えられます。
一方、当社のオンライン授業では、1回あたり80分から100分の授業、約40万回分の授業データを保有しています。だからこそ、これらのビッグデータを基にAIを活用したサービス開発や授業品質の改善ができているのです。
当社のオンライン教育は、単に距離の壁を解消する便利さだけを追求しているわけではありません。確かに、先生との物理的な距離を気にせず学習できる利点はありますが、それは一つの特徴に過ぎません。
消費者が本当に求めているのは“結果”です。そのため、私たちはAIをはじめとする最新テクノロジーを活用して、かつてない教育サービスを創造しようとしています。
対面型教育サービス以上の結果を出しながら、より便利で、かつ費用も抑えられる教育サービスを提供すること。
つまり「結果×利便性×価格」を追及することで、利用者が増える。その結果として対面型教育サービスを凌駕できると考えています。
AIを活用した
教育サービスの展望とは?
開発を進めている新しいサービスが
あれば教えてください
では特別に2つ紹介しましょう。
「AI面接官」で時代に合った
大学入試対策を提供
まず1つは「AI面接官」です。
これは大学受験対策に役立つサービスになると考えています。
近年大学入試の在り方が大きく変化し、一般入試枠が減少。多くの大学が総合型選抜・学校推薦型選抜に切り替わってきています。
総合型選抜の入試形式は、志望理由書、面接、小論文が中心です。
特に注目すべきは、2次試験の中心が面接になったということです。
この面接試験の難しさは、何を聞かれるか、どう答えれば良いのかが予測できないことにあります。よく他社の塾や予備校では「この大学ではこんな質問が出た」といった過去の質問例を基に対策をしますが、それは意味がありません。
なぜなら、面接試験は志願者が書いた志望理由書に基づいて質問が展開されるからです。志望理由書は単なる自己PR文ではなく、しっかりと文献調査も含めてリサーチをしながら「なぜこの大学でこの学問を学びたいのか?」を記載するため、一人ひとり内容が大きく異なります。
それを基に大学教授が面接されるわけですから、面接内容は志願者によって異なるので、他大学や他者の質問を把握したところで、対策にはならないんです。
そこで当社では、AIを用いて大学教授のアバターを作成し、志願者が受験する大学のアドミッションポリシーと志望理由書を基に質問内容を想定させ、本番さながらの会話のラリーを行わせることで実践的に対策をできるようなサービス開発を計画しています。これによって、時代に合った大学入試対策を提供したいと考えています。
教師の指導力向上に向けた
サービスも計画
もう1つは、当社サービスに登録する教師の指導力向上施策においても、同様にAIを活用しようと考えています。
現在当社の教師は4万人ほどいますが、学生から社会人まで様々な背景を持つため、どうしても指導力に差が出てしまいます。
そこでAIを活用して教師への指示出しを行い、指導の質を均一化を図るようなシステムの構築を計画しています。
また、こちらもAIアバターの活用も検討しています。コミュニケーションスタイルなど多種多様な生徒のアバターを用意し、授業の進め方や教え方、コミュニケーションの取り方などをより実践的に訓練ができるようなシステムを作りたいと考えています。
教育のインフラを提供する
会社として
このように、我々は単なる塾や予備校ではなく、当社のサービスを利用したい生徒と教師をテクノロジーで繋ぐ、いわば教育のインフラを提供している会社です。これまでも生徒・教師双方の利便性向上に向けて、Zoomとの連携や予約システムなど、様々な機能の統合や、システム開発を行うことで、指導管理を行ってきました。2007年にオンライン教育をスタートさせて以来、このような方向性で事業を展開している企業は他にないと自負しています。今後もテクノロジーの活用で業界をリードしていきたいと考えています。
バンザンの
“ミライ”とは?
社長が描いている今後の事業計画を
可能な範囲で教えてください
先ほど触れた通り、少子化や人口減少によって教育業界に限らず日本の産業全体が様々な対応を迫られ、日本国内での収益だけでは立ち行かなくなると考えられます。
だからこそ、海外への事業展開を計画しています。
教育を必要としている国は世界中にあります。国の政策において教育は国力の基礎と考えられており、当たり前ですが国の発展には教育への投資が不可欠なのです。
では今後成長が期待される国々はどこかと考えると、明らかにアジアです。人口面でもそうですし、21世紀はアジアの時代と言われていますから。
アジアの中でも、私が最も魅力を感じているのはインドです。
その背景は以下の4つです。
- インドの人口は約14億人2800万人。
毎年2,500万人以上も新生児が誕生している - 優秀なエンジニアを多数輩出する「エンジニア大国」であり理工系の教育が重視されている
- 「国民全体に質の高い教育を提供して、国力を向上させたい」という政府方針が発表されている
- 広大な国土を保有している
これらの状況からオンライン教育へのニーズもあると考えており、インドでの事業展開は非常に意義のあるものではないかと考えています。
私たちにはすでにプラットフォームがありますから。日本語を英語に変換する必要はありますが、基本的な仕組みはシンプルです。インドの教育システムや法律、文化などを理解することなどは前提となりますが、現地で教師と生徒の双方を募集し、私たちのマッチングシステムで結びつけられればすぐにでも始められそうです。
インドの出生数は毎年2,500万人以上、出生数70万人の日本と比較して30倍以上です。ターゲット層が多い分、結果も多く返ってくるわけですから、非常にワクワクしませんか?もちろん大変な道のりも待っているかと思いますが、この新たなビジネスチャンスを前に、私自身胸が高鳴る思いです。当社の挑戦が、教育業界に新たなイノベーションを生み出すきっかけになると信じています。当社の社員はもちろん、これから仲間になる就活生や求職者の皆さんにも、このワクワク感を共有してほしいと願っています。ぜひ一緒に、未来の教育を創り上げていきませんか?